2010年4月19日月曜日

2月28日 4大河川視察団 第三日目 その3


◎ハフェ村から数キロはなれたクアムの工事現場


◎クアムの工事現場を眺める視察団のメンバー


◎サンジュ堰の建設予定地



◎クミ堰の工事現場


 28日の午後はナクトンガンの中流の工事現場へ行きました。
ハフェ村から下流に数キロ離れたクアムというところで関連事業の工事が行われていました。4大河川事業ではナクトンガンに8つの堰(ダム)を作るといっていますが、8つのダム以外にも関連事業がいろいろ行なわれています。クアムの工事もそのひとつです。 本来、ハフェ村のすぐ下に小さな堰を作って水深を深くして遊覧船を浮かべる計画があったそうですが、そのような工事をするとハフェ村の美しい砂がなくなってしまうので、いちおう中止にしたそうです。
 このあとサンジュ堰(ダム)とクミ堰(ダム)の2箇所を訪問しました。これらの工事現場を見て、怒りと同時に悲しくなってきました。午前中のハフェ村周辺の美しい自然とは対照的に、自然を思いのままにコントロールできるのだという人間の思い上がった考えが、4大河川事業にあります。
 やはり、この整備事業は根本的に間違っています。これだけの大規模工事をこのような急ピッチで行っていいのでしょうか? また、本来の法体系を無視している部分がたくさんあるにもかかわらず、工事はどんどん進行しています。
 いったい韓国はどうなるのか、ほんとうに心配です。日本でも韓国の4大河川事業にたいして関心が高まることを願っています。大型の公共工事による経済成長や自然の破壊という世の中のあり方を変える時代になってきました。ぜひ、みなさんのお考えをお聞かせください。

2月28日 4大河川視察団 第三日目 その2
















◎ピョンサン湿地を行く巡礼団の人たち






 








◎ピョンサン書院の前で挨拶をするチユルさん










 ナクトンガンでは、尼僧のチユルさんや地元の人たちが中心になって、毎週週末に1泊2日の日程で川に沿って巡礼をしています。僕たちの視察団はこの巡礼団と合流して、ハフェ村からピョンサン書院まで一緒に歩きました。
 チユルさんは韓国の宗教人の中でも環境問題にとても関心のある人で、以前環境への被害を抑えるために断食をして高速鉄道のコースを変更させたこともあります。物静かに話をされましたが、今回の4大河川事業で川が殺されていくことに強い憤りを感じているのがわかりました。
 このナクトンガンの巡礼団のように、いまカトリック、プロテスタント、仏教徒など宗教者が4大河川事業に反対の声を上げています。

2月28日 4大河川視察団 第三日目 その1


●案内をしてくれたチュ・ヨンギさん。(左)彼はセマングムという韓国で一番大きな干拓事業の反対運動を10年以上続けています。右はSBSのパク記者。環境問題にとても詳しい方です。





●ハフェ村にある伝統的な民家。村の人たちは観光資源ということで4大河川事業になかなか反対できないそうです。







 
●フェ村からピョンサン書院への途中、川の中州がすばらしい湿地を作っています。
ここがピョンサン湿地です。
 
 
 4大河川視察団の三日目、28日の日曜日は朝早くからの行動です。7時に巡礼団が泊まっている学校に行き、かぼちゃのお粥で簡単に朝ごはんを済ませてから芙蓉台~ナクトンガンの渡し~ハフェ村~ピョンサン湿地~ピョンサン書院と歩いて周りました。ハフェ村からピョンサン湿地へ行く道は散歩道としてはなかなかいいですね。観光客も来ないし、静かに自然を楽しめます。
 ハフェ村には3回ほど来ましたが、ピョンサン湿地は初めてです。あまり訪れる人もいない静かなところです。ハフェ村の下流にダムが出来ると水位が上がり、またこの湿地もなくなってしまいます。この湿地には、韓国語でコラニという鹿の一種がいます。足跡もたくさん見つけましたし、糞も見つかりました。こんなに素晴らしい湿地を無くしてまでダムを造って水位を上がる方法があるのでしょうか。

2010年4月13日火曜日

2月27日 4大河川視察団 第二日目 その3



 パルダンの次はヨジュ。ここでは、イポ堰、ヨジュ堰、カンチョン堰という3つのダムが造られます。ダムの工事がすでに始まり、コンクリートを流して基礎工事を行っています。こんなに急ピッチで進めるのは、大統領の任期中に何箇所かを仕上げるためだそうです。めちゃくちゃな突貫工事のため、まだダムの具体的な設計が終ってなく、模型を使った実験を今やっているという新聞報道がありました。 とにかく、規模の大きさと工事の早さに、参加された視察団の皆さん、かなりのショックを受けていました。

 上の写真は、ヨジュに作られる3つの堰(ダム)の一つ、イポ堰。すでにコンクリートを流し込んで、ダムの基礎工事を行っています。
 
 下の写真はカンチョン堰の工事現場。手にしている写真は昨年の秋に撮ったもの。4大河川事業で、どれだけ自然が破壊されているか、一目瞭然です。





 

2月27日 4大河川視察団 第二日目 その2


 北ハンガンを挟んで、パルダン生協のあるチョアン面ミョン(南楊州市)の向かい側にトゥムルモリという場所があります。二つ(トゥ)の水(ムル)の端(モリ)という意味で、ここで北ハンガンと南ハンガンが合流するところで、ヤンスリ(両水里)という漢字語の地名も使われています。ここはハンガン流域で有機農業が始まった発祥のところ。いま4大河川事業に反対して、ソウル近郊の神父が交代で泊り込みをしています。車を降りるとイチゴの体験農場の看板が目に入りました。その日も子供を連れた家族づれが団体で訪れていました。このような農業体験で年間、12万人もの人がパルダン地域を訪れるそうです。
 写真は泊り込みをしているスウォン教区のチェ・ジェチョル神父。一緒に話をしているのがセマンクム干拓事業に反対しているチュ・ヨンギさん、今回の視察団でも大活躍をしてくれました。

2月27日 4大河川視察団 第二日目 その1


 4大河川視察団の二日目の27日は、まずハンガン流域のパルダン地区に行き、30年以上も有機農業をしてきた農地を体育施設やサイクリングロードにするという現場に行ってきました。私たちの行く2~3日前には、強制的に測量が行われその過程で11名の農家や生協メンバーが警察に連行されるという事態までおきています。

 この地域は1973年のパルダンダムの建設で、ダム湖がソウル市民の水道用に使われることになって、農薬などが使えなくなり、多く農家が土地を離れてしまったそうです。その後、有機農業を始め、今では韓国有数の有機農業地帯として発展しました。

 6代続けてここで農業をしているチョンジョンスさんが、パルダン生協の建物の屋上から今までの経緯について、分かりやすく、そして熱のこもった説明をしてくれました。ここは地下水が暖かくて、その水を使って暖房施設なしで冬でもハウス栽培ができるそうです。この周辺では生産者組合を作って、お互いに助け合いながら農作業をしています。代わりの土地を用意するからと言われても、簡単に引っ越すことなど出来ないと説明をされました。