2010年3月9日火曜日

2月26日 4大河川視察団 第一日目

 初日の計画は2つ。ひとつは、ソウル市の南にある果川政府庁舎にある「4大河川事業推進本部」を訪問して、事業の内容や環境への影響などについて説明を聞くこと。ふたつめは環境運動連合の事務所でこれからの訪問先や日程について説明を聞く事でした。


 結論から言うと「4大河川事業推進本部」の担当者には会えませんでした。面談の申し入れをした環境運動連合(KFEM)のマ・ヨンウンさんによると、これほどまで頑なに面談を拒むということはなかったそうです。会いたくない、あるいは反対する人達は無視するという態度のように思われました。


 時間が余ったのでチョンゲ川を散策しました。この川を「作った」のはイ・ミョンバクですね。当時、ソウル市長でした。これに味を占めて、大運河構想、そしてその後の4大河川事業に発展したわけです。都会の真ん中での河川の再生というレベルでは評価できる部分もあります。でも、流れている水は自然の水ではありません。ポンプアップしている水なので、いわばディズニーランドのアトラクションにある川と同じです。その点は見逃してはいけないと思います。


 夜は、環境運動連合の近くで夕食を食べながら、4大河川事業に反対している方々と会いました。

 まず、関東大学で土木工学を教えているパク・チャングンさん。この方は(社)市民環境研究所の所長でもあり、この4大河川事業の怪しさと危なさを説明してくれました。一言で、あまりの突貫工事で報告書を作ったため内容がなく、お互いに矛盾しているところばかりということです。

 つぎに水原大学で都市計画を教えているイ・ウォンヨンさん。この方は「運河反対全国教授の会」の中心メンバーで、4大河川事業は環境破壊であると同時に民主主義破壊だと強調しました。このことはその後現場をみて、本当だなと実感しました。

 そして、弁護士のチョン・ナムスンさん。今工事差し止めの裁判を、それぞれの川ごとに国民訴訟を行っているそうです。今回の4大河川事業は、法体系そのものを無視して、どんどん例外規定を作ってそのなかを強行しているそうです。


 その後、環境運動連合の事務所に行き、スケジュールの打ち合わせをしてから、ホテルに戻りました。さあ、視察団が始まりました。

 

 



韓国4大河川日韓市民視察団 呼びかけ文

韓国4大河川整備事業  日韓市民視察団、参加者募集!


日程:2010年2月26日(金)~3月1日(月) 4日間   


 いま韓国では「4大河川再生整備事業」という名称の一大プロジェクトが進行しています。


 ソウルのシンボルとも言える漢江(ハンガン)、公州や扶余を流れる錦江(クムガン)、全羅南道を縦断して木浦に至る栄山江(ヨンサンガン)、慶尚道を縦断する一番長い洛東江(ナクトンガン)で大規模な土木工事が行われています。5.7億㎡の川底を浚渫、16箇所で固定堰(ダム)、6箇所で調整池やダムを建設し、377㎞の堤防を整備、総額22兆ウォン(約1兆8000億円)以上という大型公共事業です。洪水を防ぎ、水資源を確保し、生態系を復元するという目的で行われ、李明博(イ・ミョンバク)政府の掲げる「グリーン・ニューディール」の目玉とも言えます。 

 しかし、昨年の11月の調査では即時中断が30.1%、計画縮小が36.2%と反対の声が多数となっています。特に工事によって渡り鳥の餌場として重要な河川付近の湿地や水溜りなどが破壊される恐れがあり、ダムの建設により水を溜めるために水質悪化が懸念されています。また、環境アセスの期間がわずか4ヶ月ほどで、去年の11月から本格的な工事を始め、今年の5月までに全体の60%を終了させるという急ピッチなやり方にも不安の声が上がっています。 

 このような無謀な公共事業に対して、日本と韓国の市民が協力して調査を行い、事業の問題点を明らかにしていこうと、日韓市民視察団を結成することになりました。韓国におけるこの事業の影響は日本を含む東アジア全体の環境問題であり、決して他人事ではありません。私たち「韓国4大河川 日韓市民視察団」は、市民の立場からこの事業を厳しくチェックし、韓国政府に対して声を上げていきたいと考えています。 視察を力強く成功させるためには、湿地関係者のみならずダム問題NGOをはじめ各方面の研究者、法律家など幅広い参加が必要です。 


 来る2月26日(金)~3月1日(月)に行われる「日韓市民視察団」にぜひ参加してください。 

<呼びかけ団体> ラムサール・ネットワーク日本  

【日程と訪問先】★現地集合解散となります。行き・帰りの航空便は各自で手配してください。

<2月26日(金)>大韓航空またはアシアナ航空で韓国金浦空港へ 

・羽田発の場合

*行き/2月26日  大韓航空2710便 羽田19:35 金浦21:50着

          アシアナ1035便  羽田20:05発 金浦22:25着  

※羽田空港以外から出発される方はお問い合わせ下さい。到着後、各自ホテルへ

# 宿泊 / 南営洞(ナミョンドン) レインボーホテル 02-792-9993 

《先発隊》26日の午後、4大河川事業推進本部と面談の予定です。また夕方より視察団の実務者会議を予定しています。参考:先発隊にも同行される方は、以下の便があります。 

NH1291便 羽田8:20発→金浦10:45着  この場合、帰りも   NH1294便 金浦発19:40発→羽田発21:45着 となります。


<2月27日(土)>

8時        ホテルで朝食の後、南ハンガン(漢江上流)・パルダン湖へ移動

9時30分~11時 パルダン湖周辺調査/地元有機農業農家との懇談

12時 ~ 13時 昼食(ヨジュ付近) 

13時30分~15時30分 ヨジュ堰、カンチョン堰の現場視察

15時30分~17時30分 慶尚北道、ヨンジュへ

18時 ~ 19時 夕食

19時 ~ 21時 ヨンジュダム 被害住民との懇談会

# 宿泊  ヨンジュ市内 場所未定


<2月28日(日)>

8時        朝食の後、洛東江上流ヨンジュダム建設予定地へ移動

9時  ~ 10時 ヨンジュダム建設予定地現地視察

11時 ~ 12時 フェリョンポ周辺視察、近くで昼食

13時       亀尾(クミ)へ出発

14時 ~ 16時 クミ~テグの間で現地視察。工事の進展状況で視察場所を決定。

16時 ~ 18時 大田(テジョン)へ移動

18時       夕食

19時 ~ 21時 錦江(クムガン)流域の環境団体との懇談会(テジョン)

#宿泊 テジョン、またはユソン温泉エリア、場所未定


<3月1日(月)>

7時30分     朝食後、錦江流域に移動 

9時  ~ 11時 フヨ堰、クムナム堰、現地視察

11時 ~ 14時 金浦空港へ移動(途中の休憩所で昼食)

14時 ~ 14時30分 金浦空港到着、解散式のあと日本からの参加者は帰国の途へ

・羽田着の場合

*帰り/3月1日 大韓航空2709便 金浦15:50発 羽田17:55着

        アシアナ1045便 金浦16:45発 羽田18:45着

以上の日程は現時状況により変更になる場合があります。変更の場合はその都度お知らせします。

2010年3月7日日曜日

韓国4大河川日韓市民視察団に参加された皆さんです。3泊4日の短い旅でしたが、本当に中身の濃いものになりました

韓国4大河川日韓市民視察団の記録 5 (韓国雑記帳より)

 先週の金曜日は視察団に参加される方々が金浦空港や仁川空港に到着した日でした。東京、名古屋、大阪(兵庫と京都)、九州と日本の各地から環境保全の問題に係っている専門家!が11名も集まりました。 大学教授が3名(現役1名、名誉教授1名、元教授1名)、弁護士が3名、環境運動の専門家が2名、地域の自然保護団体の代表が2名。専門別に見ても、法律、土木、生物と多岐にわたっていました。いやあ、これだけのメンバーが揃うとは、思ってもいませんでした。 

 27日の視察は安東泊です。ここで、ナクトンガンの地域で反対運動をしている人たちと合流して、レクチャーを受けました。通訳のしすぎで、どの人が何を言ったのか、ごちゃごちゃになってしまいました。覚えているのは、ナクトンガンの特徴です。 

 地図があれば見てください(僕が地図をアップすれば言いのですが…) ナクトンガンの中流に、クミ(亀尾)という都市があります。そのちょっと南はテグです。この2つの都市を過ぎると、ナクトンガンの様子はガラリと変わります。ここより上流は大きな工場地帯がないので河はあまり汚れていないそうです。 ところが、大きな工場地帯のあるクミとテグを過ぎると河は汚れだすそうです。以前、フェノールという有毒物資が垂れ流しになったことがあるそうです。この中流から下流にかけて堰、といっても高さ10メートル、幅が300~400メートルもあるのですからダムですね、ダムを5つ作ります。そのうえ、捨て場所も確保しないまま、重金属で汚れた川底を浚渫するのですから、怖い話です。まあ、こんなところは覚えています。 

 レクチャーが終ったころに、巡礼団の人たちが部屋の中に入ってきました。毎週、土曜日日曜日の1泊2日の日程で、チユルさんという尼さんが中心になって、ナクトンガンの河沿いに歩く人たちです。土曜日の10時にサンジュというところを出発、この日はバスでナクトンガンの美しい景色を目に刻みながらアンドンまでやってきます。

 次の日曜日は徒歩で、ハフェ村、ピョンサン湿地、ピョンサン書院、マエ湿地などのナクトンガンの史跡や豊かな自然を楽しみます。 4大河川事業でダムが出来ると水位が上昇し、これらの湿地や中洲はなくなってしまいます。その上水がせき止められるので、水質は悪くなってしまいます。洪水対策という名目もありますが、もともと水を貯めておく堰(ダム)ですから、万が一の大雨のときに、水を臨時に貯める余裕はなく、むしろ堰が決壊したら大災害になってしまいます。本当に何のための工事なのか、全くわけがわかりません。

 話は全くちがいますが、今回の視察旅行、食事は本当にシンプルでしたね。肉を食べたのは初日のサンギョプサルだけ。あとはキムチやナムルのおかずにスープとご飯という庶民的なもの。でも、美味しかったと好評でした。もちろん、夜は宿でマッコリをたくさん飲んで、いろいろ話したのもとてもよかったですね。 ということで、アンドンで食べた晩御飯の写真です。この後、ビビンバにして食べましたが、ここのテンジャンやナムル、美味しかったですね。